平成2年から6年まで新潟市で勤務した。今年の4月に新潟へ11年ぶりに帰って勤務することになった。この11年間で変わった事といえば、柳都大橋がで き、みなとトンネルができ、みなとぴあができ、そして朱鷺メッセができたことだろうか。それからビッグスワンもできた。アルビレックスも登場した。そして 今新潟市は政令都市を目の前にしている。まちは大きく変わった。さて、人々の心は同じように変わったのかと言えば、ちょっと気付いたことがある。当時(前 回勤務したころ)は“まちづくり”のテーマというと、「夕日」や「食」。町の若者は夕日コンサート、食の陣などで活気づいていた。つまり自然や新潟の得意 な食がテーマだったのである。しかし、今回帰って驚いたのは、それらのイベントは今でも健在なのだが、まちづくりのテーマがすっかり変わったことである。 「寺町からの会」「堀割再生プロジェクト」「まち遺産の会」「愛郷会」などの活動がそれを象徴している。会の皆さんと話してみると、これらの活動で共通す るのは「歴史を振り返る」「古さを尊ぶ」ということであると感じた。そういえば効率性、利便性を追求して、かつて新潟は古い物を簡単に捨てさってきた。堀 もそうだし、旧県庁や多くの古い家並みが消えてきた。古いものを邪険にする時代が何年も続いた。しかし落ち着いた時代になって人々の心のなかに、これでは いけないという気持ちが芽生えてきたに違いない。今残る町屋や思い出のある建物に懐かしさや心の安らぎを感じるのは年配者だけではあるまい。表面的には目 に見えて変わった新潟市だが、人々の心や関心は「古い物を大切に」「歴史を大切」にと、確実に変わってきている。