県では昨年から、試みとして四季毎にテーマを設け、県外に観光アピールをすることとした。今年の春は「花」、夏は「花火」、昨冬は「あったかスノー王国」であった。
さて、今年の秋のテーマは「大収穫祭」である。新潟の“食”をメインにして、秋の実り、秋の収穫といったイメージを積極的に売り出そうというものである。また、食のなかでも、今回のキャンペーンではとりわけ、新潟県が得意とする“米”“酒”に重点を置いた。
新潟県外の旅行客に県のイメージについてアンケートをとると、先ず1番が米である。次に酒がきて、3番目以降は“魚”“雪”などとなっている。 この1位2位の順位は固定されていて何年も変わっていない。しかし、米、酒を正面きってキャンペーンのテーマで取り上げたことはこれまでなかった。県外で はイメージが強くても、県内の観光関係者にとっては“米”“酒”ではあたりまえすぎて今更という感が強かったようである。
しかし、米、酒をテーマに調べてみると、存外このふたつが粗末に扱われていることがわかった。米でも、新潟産の代名詞のこしひかりが必ずしも県内全ての旅館で使われてないこと、あるいは酒にしても、何の説明のないまま提供されていることなどである。
新潟の酒は薀蓄があって旨くなる、とは日経新聞の前長岡支局長の井上さんの言であるが、やはり新潟の酒の故事来歴を聞くと酒の味が良くなった気がする。
こしひかりや新潟の酒は、観光キャンペーンのテーマが何であれ、県外から訪れるほとんどのお客様が期待していらっしゃる。期待しているだけに、裏切られた時の落胆は大きいに違いない。
大収穫祭は、そうした県外からのお客様の、新潟の米、酒に対する期待に答えることが「おもてなし」の基本と考えたところに真の狙いがある。