卓話「新潟の記憶」 新潟RC 12 月第3 例会 (2005. 12.20) No.2637から
新潟県産業労働部観光企画監 小島 隆
10月の連休に市内で「下町ウォーク」という催しがあり参加
してきました。好天もあって、総勢260人が参加し、いくつかに別れてボランティアの方の説明を聞きながら下町を2,3時間散策しました。コースは市歴史博物館をスタートに港稲荷神社、金毘羅神社、浅草観音堂、長音寺、旧八幡医院宅、またちょうど公開されていた「小沢邸」などを巡り、新潟の港町としての古い佇まいを垣間見ることになりました。
さて新潟には今回巡った下町のほかに西大畑、寄居町界隈には新潟を物語るに相応しい人々の思い出に残る建物などが点在しています。坂口安吾の生家あとにも記念碑が立てる動きがあります。旧県副知事公舎も残されることになりました。ここには野坂昭如が住んだことがあります。野坂氏の自伝小説「行きくれて雪」にはその建物の描写が出てきます。副知事公舎の近くには荻野博士の自宅がありました。
新潟は「みなとまち」としてだけでなく、数々の文化人や歴史
的人物の足跡が残るまちでもあるのです。こうしてみていくと、私たちが生まれた新潟は案外面白くて味わいのあるまちというような気がしてきます。外から来る人に見てもらいたいという気がしてきます。
かって高度成長期には効率性・利便性が最重視され、どのまちもミニ東京化し均一化されたまちができてきました。しかし、最近では村上のまちや巡りをはじめ、出雲崎、長岡、塩沢など古いまちまみを見直す活動が盛んです。その動きは県内だけではありません。最近では全国的にそうした古い歴史的な“まちなみ”に観光客が多く訪れています。
今、自分たちが住むまちを見直してまちの歴史や物語を知ることは、新潟のまちの記憶を蘇らせることにほかなりません。またそれがまちづくりの基本になるのではないでしょうか。まちの記憶を辿ることによって、この町の良さや味わいを知り、新潟に住むことに誇りと自信を持ちたいと考える今日この頃です。
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